はじめに
近年、日本では大腸がんによる死亡率が増加しています。大腸がん検診として便潜血検査が実施されていますが、便潜血検査を受けるだけでは意味がありません。便潜血検査で異常を指摘された場合には、必ず大腸内視鏡検査を受けて、がんやポリープの有無を確認する必要があります。厚生労働省の調査によると、大腸がんの罹患率は、男女ともに40歳代から急激に増加し、高齢層ほど高くなる傾向がみられます。したがって、アメリカでは40歳以上で大腸内視鏡検査を受けることを推奨しています。
早期発見、早期治療が大切
大腸がんはがんのなかでも適切に治療を受ければ、根治しやすいのが特徴です。
早期発見、早期治療が大切です。大腸内視鏡で大腸内をくまなく観察し、早期がんや前癌病変(がんになる前のポリープ)を見つけることができれば、開腹せずに内視鏡手術で治療することができます。
当院の大腸内視鏡の診療特徴
精度の高い内視鏡検査と豊富なスコープのラインナップで過去に手術をされ癒着がある方でも対応可能です。 過去に痛くてつらい思いをされた方はぜひご相談ください。当院の内視鏡検査は麻酔薬を投与し、眠っている間に行いますので痛みや苦しさはありません。 また、20年以上に及ぶ経験と国内の大学病院や海外の内視鏡室で検査を行ってきた実績に基づき、高精度で苦痛のない検査を提供させて頂きます。
大腸カメラの流れ
当院の大腸内視鏡のポイント
院長は20年以上の内視鏡歴があり、大学病院や海外の病院での指導実績もあります。すでに長年の経験を有していますが、内視鏡検査の技術は日進月歩です。過去の経験だけでなくこれからも新しい技術を積極的に導入し、患者さんにとってより安全で負担の少ない検査を追及していきます。
当院は電気メスを用いないコールドポリペクトミーを採用しています。従来は電気メスを通電して焼き切るポリープ切除でしたが、この場合、ポリープは取れても残った大腸組織へのダメージが大きく、検査翌日だけでなく数日から1週間後に出血する事もまれにみられました。これに対しコールドポリペクトミーは特殊なスネア(https://www.bostonscientific.com/jp-JP/products/snare/CaptivatorII.html)でポリープを切除しますが、電気メスによる熱を発生させない為、ポリープ切除に要する時間も短縮するとともに切除断端の大腸組織の損傷も少ない内視鏡手術です。
当院では、空気の代わりに生体吸収性に優れている炭酸ガス送気装置を使用して送気を行い、検査中・検査後のお腹の張りを極力抑える工夫をしています。
当院は大腸内視鏡専門クリニックである以上、スコープ選定には強いこだわりがあります。スコープのラインナップはオリンパス社製スコープである CF-H290IとPCF-PQ260Iの2種類を用意しています。細身の女性から大柄な男性まで幅広く対応可能なCF-H290Iと、手術歴があり癒着が想定される細身の体形の方のために極細径内視鏡であるPCF-PQ260Iを準備しています。 PCF-PQ260Iを導入することにより、体の小さな女性や過去の手術により癒着があり、過去に痛くて奥までスコープが入らなかった患者さんにも対応できるようになっております。この極細径スコープは受動弯曲機能が搭載されており、強固な癒着があっても患者さんに苦痛を与えることなく挿入することが可能です。このスコープを採用したことで、大腸スコープが入らず、別の日に改めて別の病院でもう一度、内視鏡検査をやり直す必要がなくなり患者さんの負担を大幅に低減することが期待できます。
当院では、大腸ポリープに関して基本的に生検による病理組織検査を行いません。腺腫、もしくは鋸歯状ポリープを認めた場合、ポリープの完全切除が基本なので、ポリープの一部を生検鉗子でかじり取って、不完全な治療をする意味が全くありません。病変が、がんであろうがなかろうが完全切除するしかないからです。(ただし、外科手術が必要な進行がんの場合は、確定診断目的で生検による病理組織検査を行います)
特に側方発育型腫瘍(LST)の場合、生検は相対的禁忌です。なぜなら、LSTは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応となる病変であり、安易に生検を実施すると、その部分が瘢痕化し、のちにESDを実施する際に治療の障害になる可能性が高いからです。無神経に生検を行ったがために、ESDで済む病変が開腹手術になってしまう可能性もあるのです。先の治療のことを考えず、ただ機械的に目の前にある病変を生検をすることは、患者さんの時間とお金を無駄にするだけでなく、治療の選択肢をも奪う可能性がある事を内視鏡医はしっかり自覚する必要があります。
このように、内視鏡検査では病変が発見された時に、次の治療の事まで考える事が出来る豊富な経験を持った内視鏡医が検査を行う事が非常に重要です。